梨の実
なまいき り〜ちゃん
もう、すでにバカンスの時期を半分過ぎたっていうのに
執筆活動を続けている
完璧主義な性格というのもあるが
今回の作品は複数の国に関連する組織とも関わりがあるため
正確な裏づけ作業にいつも以上に慎重にならなきゃいけない
今日も徹夜で、小鳥のさえずりが長時間集中していた脳に直接語りかけ
そんな自分を癒してくれる
郊外の家で集中して作業するのも悪くないものだ
「もっし、も〜し」
う〜ん、また来たのか
こっちは仕事で忙しいのに
夏休みで暇だからって
毎日押しかけてくるのは
どうかと思うなぁ...
ガチャっと戸を開けると
りしゃこが立っていた
と不思議なポーズを取っている
オイラ<あぁ、似合っているよ
仕事に戻るオイラ
り〜ちゃん<ねぇねぇ、面白いことあったんだぁ〜
オイラ<ちょっと忙しいから、後で聞いてあげるから
り〜ちゃん<うん、じゃー、待ってるね
なんか、いつもはまとわりついてくるのに
今日は、妙に素直だな
とりあえず、仕事に戻る
やがて、お昼どきになり、さすがに帰っただろうなぁって思ったら
この家の中でも最高に居心地のいいポジションにり〜ちゃんは待っている
若干甘えつつ、ちょっとあきらめた声に
ちょっと申し訳ない気持ちになっている自分に不思議に思った
オイラ<もう、分かったよ。一緒に出かけよう
この別荘も買ったばかりで、この土地のことも知らないし
今日は、ガチャガチャうるさい感じじゃなくって
素直っぽいところが感じられたので
相手をしてあげる気持ちになったのかもしれない
り〜ちゃん<本当?じゃ、ちょっと待ってて
この地域で気になっていた
教会を案内してもらうことにした
様々な年代の建築様式が組み合わさっていて
時代ごとに増築して行った事がこの地域の年代ごとの
経済的繁栄を物語っている
ついつい教会の隅々を見ていたので
り〜ちゃんをほったらかしにしてしまった
り〜ちゃんは、こちらを見つめながら
自分が熱心に見ているのを黙って見つめている
心配いらないよ
心配いらないよ
心配いらないよ
ちょっと耳を疑い
無限ループに
いかんいかん
オイラ<そんなこと言うのは、子供の証拠だぞ。そんなことより、食事にでも行こう
り〜ちゃん<もぅ、オトナダヨ。オトナ。プンプン
こういうところが、まさに子供なんだよな。
遅めのランチを小さなレストランで食べ終え
会計を済まし、外で待つり〜ちゃんの元へ
こういうところは、素直に育てられてきたことをうかがわせる
ただ、上着を脱いでいるのは何かのアピールなんだろうな
ここは、触れないでおこう
り〜ちゃん<なんか暑くなってきちゃったね
オイラ<ここは避暑地とは言え、午後には暑くなってくるからね
り〜ちゃん<プールに行こうっ プール。ねっ
ジャッポーン
勢いよくプールに入るり〜ちゃん
なんか自然な笑顔で
自分の喜びを素直な表情で表現できる
大人になっていくにつれて忘れちゃう表情なんだよな
日が傾き始めてきた
オイラ<もう、行こうか
今日は、素直なんだよなぁ
着替えを終えたり〜ちゃんがちょっと寂しそうにしている
り〜ちゃん<あのね。今日は、とってもとっても楽しかったの。でも、とってもとっても楽しかった今日が終わっちゃう
オイラ<でも、り〜ちゃん。毎日、毎日、楽しくなるように積み重ねていくのが人生だよ。だから、明日はもっともっと楽しくするようにしていけば、今日は寂しくないし、明日のことが楽しみでしょうがなくなるよ。
り〜ちゃん<でも、明日は、また、お仕事で忙しいんでしょう?わたし、一人じゃ楽しくないもん
オイラ<しょうがないなぁ。ちゃんと、り〜ちゃんとの時間も大切にする。だけど、仕事も大切だからそれは分かるよね
約束のキス
これが、おじいちゃんとおばあちゃんが結婚したキッカケだよ