ベストショット
ここんさん風に(遠く及ばないけど)
僕は、あの南の島へやってきた。
パスポートがギリギリ間に合って、ほんと良かった。
パスポートを取るのがこんなにめんどくさいなんて思ってもみなかった。
それに、飛行場に来たのも初めてで、何をどうすればいいのか全然分からずに、いろんな係員の人に何回もどうすればいいか聞いたりして、ずーっと不安だった。
入国審査のときも、かなり挙動不審な感じで、イエスの答えを繰り返していた。
そんな初海外は驚きの連続だったけど、一番驚いたのは、旅行の相手。
同じ図書委員の中島さんだ。
中島さんは、図書委員の仕事を黙々とこなして、時間が空いているときなどは、分厚いレンズ越しに小説をじっくり読んでいる。
そんな中島さんから
「福引の景品で当たった海外旅行券があるからみんなで行かない?」
っていうお誘いに2つ返事でオッケーした。
一応、学校では英語は得意で、英検4級を持っている。
そんなに賢い学校でもないので、4級と言えど、クラスのみんなからは一目置かれている。
そして、飛行場に着いて驚いたことに、「みんなで行こう」の『みんな』は、中島さんと僕のことだった。
ちょっと嬉しい気持ちにもなったけど、中島さんのお父さんとお母さんは知っているか気になった。
こういうとき、親って言うのは心配すると思うし、しょぼいけど、僕は男だし。
そんな葛藤をよそに、ビーチでの中島さんは、学校では全く見たことない表情をしていた。
こんな嬉しそうな表情の中島さんを見ることができて、ちょっと嬉しかった。
そして、ひっそりと、この表情を僕の一生の宝物にしちゃおうって思った。
お昼ごはんを近くのレストランで食べた後
中島さんは違う水着に着替えていた。
なんと、2泊3日の旅行(機中泊1日含む)なのに、7着も水着を持ってきたらしい。
こういう水着を見たことなかったから、中島さんを直視できない自分がいる。
さらに、全部の水着を着れないから、次の水着は僕が選びことになっていると!
そそそそそういうのは困っちゃいます。
楽しい時間ってあっという間
いろんなことがあって、帰国する前の朝食時
「こんな楽しい旅行が出来てほんと嬉しかった。ありがとね。」
中島さんは言った。
「今度、またどっか行きたいよね」
っていう感じの言葉が続くと僕は思った。
実際は、
「もうね、会えなくなっちゃうと思う...」
という言葉が続いた。
家庭の事情が複雑らしく、この旅行の後には、九州のおばあちゃんの家で暮らすことになるそうだ。
学校で消極的に見えたのも、家族のことで悩んでたからなのかなぁって思って、悩みに気づいてあげられなかった自分が悔しかった。
そして、今回の旅行も家庭が上手く行ってないからこそ、僕と一緒に行ったのかもしれない。
それでも、僕は言った。
「早貴、九州の男なんてリアル変態しかいないから、僕が迎えに行くまで待っててね」
「確かに!」
ってめっちゃ嬉しそうな表情だったのが印象的だった。
僕が自然と早貴って呼ぶことができるようになったのが嬉しかったのかもしれない。
女なんて単純だなっ
NACKY 中島早貴ベストショット
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